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何の変哲もない、平均的な

高校野球のこととか

「オレたちは強いんだ」紅顔投手とボヤスケ君 - 専大北上(1972.03.29)

「ピンチになればやっぱり胸はドキドキしたけど、キャッチャーのミットだけ見て投げた」


専大北上・畠山投手はもともと赤いホオを勝利の興奮でいよいよまっかに染め、トツトツと話した。「岩手は野球のレベルが低いなんていわれるのがいやだから、全力を尽くそう、とだけ思っていたんです」と畠山投手はつけ加えた。2年生のこの紅顔投手が8回の1死満塁、9回の無死二、三塁にも動じない試合度胸を持っていたのはおどろきだった。


立ち上がりから連続7三振。それもほとんど外角ストレート一本ヤリ。「大阪へくる前、専大といっしょに練習しましたが、大学生もてこずっていました」(北村監督)というほどの球威で、花園・清水監督は「スクイズを考えたが、ボールが速いからフライになるんじゃないか」と、ついにスクイズに踏切れなかったのだ。


「ふだんはボヤッとしているでしょ。ところがユニフォームを着てグラウンドに立つと、見違えるほどになる」というのが北村監督の畠山評である。


<中略>岩手県からは過去一関一高(第27回、1回戦不戦勝)、遠野高(第30回)、宮古高(第34回)、盛岡商(第38回、1回戦不戦勝)が出場しているが、いずれも第1戦で敗退している。


青森の三沢、福島の磐城が夏の大会で準優勝している。春浅いセンバツで東北勢チームが背負っているハンディはかなりのものだが「寒冷地チームだから…」という甘えも許されない。


「岩手の野球は弱くない」――そう信じて畠山投手は投げ続け、藤原はスクイズ失敗などサッサと忘れて決勝打を放ち、岩手勢のセンバツ史に輝かしい勝利のページを加えたのだ。たとえそれが1回戦という小さな関門だとしても、そして花園が強豪でなかったとしても……。


毎日新聞、1972.03.29東京朝刊17面)