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何の変哲もない、平均的な

高校野球のこととか

安房・佐野巧投 - 低め集中、堅守信頼(2008.03.23)

第3試合(1回戦) 安房(千葉) 2-0 城北(熊本)


騒然とする場内をよそに、佐野は落ち着いていた。0-0の均衡が続く8回。三塁手の佐藤が邪飛を追ってカメラマン席に飛び込んだ。「心配で見に行きましたが、大丈夫そうだったので」。研ぎ澄ませた集中力を打者だけに向ける。


2死一、三塁。「必死のプレーの後で点を取られるわけにはいかない。流れが悪くなる」。気合も入った。一塁走者に二盗されても動じない。スライダーを低めに突いて二飛に打ち取った。


速い直球を投げ、鋭い変化球で三振を奪う。いつも思い描いている理想の投球を、城北の村方に見せつけられた。「かっこいい。でも僕は、僕の投球をするしかない」。


三振の山を築く相手のペースに惑わされることなく、130キロに届くかどうかの直球と少し変化するスライダーで、ひざ元だけを狙って投げた。


ピンチに陥るたび、制球はさえる。4回以降は毎回走者を背負ったが、「高さの失敗がなかった」と早川監督。長打を許さず、味方の体を張った守りにも支えられ、本塁を踏ませなかった。


「僕の球はキレもないし、力もない。安打を打たれない投手じゃない。だから粘り強く低めに投げる。そうしたら、みんなが守ってくれると信じてます」。昨年の公式戦防御率3.72は、出場36校の背番号1のなかで最下位タイの35番目。たとえ数字は悪くとも、投手として一番大事なことを、安房のエースは知っている。(山下弘展)


(朝日新聞、2008.03.23東京朝刊19面)